アートなしには生きられない

バレエ、ダンス、クラシック音楽、美術館などシンガポール・東京でのアート体験を中心に。

National Ballet of China『くるみ割り人形』

くるみ割り人形のチャイニーズバージョン、予想を上回るおもしろさ!

 

过年: The Nutcracker(Chinese version)
The National Ballet of China

18-20 Jan 2019 8pm Esplanade Theatre

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なぜこの時期に「くるみ」かというと、2/5がChineseNewYear、もうすぐ新年!というタイミングだから。客席も赤い洋服を着た人が多く、子供たちも多くて賑わってた。

 

National Ballet of Chinaのくるみは思いっきりチャイニーズ!もうね、感心。ここまでやり切ったら凄い。

クリスマス要素はゼロ。12人のダンサーそれぞれが干支の動物のお面を被ってたり、上半身に干支の動物が立体的についてたり、雪の女王は鶴の女王だし、巨大な皿や壺が飾られた磁器の王国で花のワルツ。いやもはや花ではなかったけど。

 

全体的に大掛かりな舞台装置はなくて、舞台上はわりとシンプル。舞台が広く見える。身長があってすらりと手足の長いダンサーたちによるコールドはダイナミック。

特に一幕最後の鶴の群舞は一見の価値あり。ほっそりと長いラインの女性ダンサーたちが鶴にぴったり。チュチュのおしりが長くなっててほんとに鶴っぽい。

”花のワルツ”は男女8人ずつの群舞(磁器の王国なので磁器の柄のチュチュに頭飾りは壺の首の形!)も、「花のワルツじゃない‼」みたいなことを考えなければ見ごたえあった。

あとアラビアの踊りも良かったな。斬新な衣装続きの中で、遠目には「あれ?普通にアラビア?」と思いきや男性の頭が黄金の仏像の頭みたいになってて抜かりない。

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 鶴が舞う紗幕↑

 

最初の方のクララ、もとい、ユアンユアンの家の場面は演劇的というか紙芝居風で、何十年か前の中国のイメージ?で、メイク、髪型、衣装など全てレトロなんだけど、”中国のイメージ”(合ってるか合ってないかはおいといて)を前面に出して作られてる。

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であるからこそ中国国外に持って行っても楽しんでもらえる気がするし、チャイニーズバージョンができるならジャパニーズバージョンは?と考えさせられた。日本のバレエ団が日本国外でやるなら、他では見られない演目が近道だよね。(例:ザ・カブキ)

SDT(Singapore Dance Theatre)のくるみは舞台を上海においてるのに、概ね定番をなぞっているだけで、それゆえなおさら実力とおそらく資金の不足が目立ってしまう。中途半端はいかん。

 

youtu.be

迷ってたけど観に行って良かった。チャイニーズバージョンのくるみってどうなのー??と疑ってすいませんでした。もっといい席買えばよかったよ!楽しかった。

 

(とはいえロイヤルのくるみLVを観に行きたくなったのも事実(笑))

 

中国国立バレエ団、5月に東京公演があるみたいですね。