アートなしには生きられない

バレエ、ダンス、クラシック音楽、美術館などシンガポール・東京でのアート体験を中心に。

パリオペラ座バレエ団『コッペリア』(2011)

新国立劇場の『コッペリア』(ローラン・プティ版)を何度も見たことで他のバージョンどうだったっけ、となったので久しぶりにパリオペのパトリス・バール版をプライムビデオで。

 

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ぜーんぜん覚えてなかった!確認したらオペラ座でこのバール版コッペリアが上演されたのはこの映像のシーズンが最後で、もう10年やってないね。

 

キャスト:

スワニルダ /ドロテ・ジルベール
フランツ /マチアス・エイマン
コッペリウス /ジョゼ・マルティネズ
スパランツァーニ/ファブリス・ブルジョワ

 

新国を観た後でパリオペを観ると「立体的!」となった。踊りの性質からなのか体格も含めてなのか。それにしてもみんな舞台上での立ち振る舞いが上手いなあ。

 

スワニルダのドロテ。私は最近はともかく若い頃のドロテはどちらかというと苦手なのだけど、スワニルダのキャラには合っている。

マチアスは別次元に輝いている!学生の設定のフランツに実年齢も近いマチアス、美しい脚のラインとのびやかさに「さすがだ…」とためいき。

しかし主役はコッペリウスのジョゼかな。アデュー間近の頃のはず。かつて愛した女性を忘れられず、失った痛みが癒えず、そこを老博士スパランツァーニに付け込まれる。というように見える。

スパランツァーニはファブリス・ブルジョワが演じていてこの存在感が重要。

 

スワニルダがコッペリウスに惹かれていくのもわかる、と思わせるジョゼコッペリウス。若造フランツよりステキなおじさまが気になっちゃうのね。しかし実はコッペリウスが思っているのが自分ではないとわかって誘惑さえするスワニルダ。さすがフランス。(笑)

 

ところでドロテ/マチアスのペアってほとんど見たことがない気がする。この作品では成立してるけど、ミリアムだったらどんな風だっただろうなーと想像してしまった。ミリアムのスワニルダも、ドロテとは全然キャラが違って良かったのではないかな。マチアスとの組み合わせはばっちりだし。(配役確認したらミリアムはジョシュアとだった、確かにそれもありだな)

あ、そういえば5/30からの≪Le Jeune homme et la Mort≫で今度組むね、ドロテとマチアス。

 

しかしこのラスト、フランツがスワニルダを操るところにゾッとした。どういうこと。コッペリウスの怨念(?)がそうさせたのか、いやいや実はフランツはすべてお見通しで裏で操ってたのか、そもそもあの場面はすでにこの世ではなくあの世なのか、とかもうダークサイドな妄想が次々に浮かぶ。(バールさんの意図が知りたい)

 

全然覚えてなかったけど、以前観たときから鑑賞経験が積みあがったので考えることも感度も変わっただろうな。基本的にあまり好きな系統の作品ではないのでたぶん以前は「あーはいはい、コッペリアね」って感じで観てたと思う。でも新国コッペリアでいろいろ考えた直後ということもあり、新たな鑑賞体験という感じだった。コールドに現在のエトワールもいたりもするし楽しみ方もいろいろ。

 

この上演から10年経って、今のダンサーだったらどう配役するかと考えるとうーむとなるので、なかなか上演タイミングがないのも仕方がないのかな。『ドガの踊り子』もだけど、このタイプって現在では選ばれるのが難しくなってきてるのかも。コンテが増えてるし。

 

そういえば2021/2022シーズンのプログラムがもうすぐ発表になるね(5/18かな)。コロナ禍で閉まっていた劇場も5月19日から制限が緩和される予定で、オペラ座ローラン・プティプログラムから再開予定。観たいーーーー。

オンライン配信もしてくれるといいな!!!