ひさしぶりにパリに行ってきた。
ニュース等でご存知の方も多いでしょうが、フランスでは12月5日より、大規模なストライキが展開されている。バスやメトロ、電車も大混乱。
これは政府が提案している年金改革への反対の意志表示。特に肉体的厳しさなどにより早期定年が認められている職種では、改革によってその”特権”を失うことになるため猛反対。
そしてパリ・オペラ座のダンサーも、定年が42歳の公務員。今回のストにはオペラ座のダンサーも参加している。よって12/5以降、すべての公演がキャンセルになっている。
以前パリに住んでいたことがあるのでフランスのストの多さはわかっているし、まあ1週間くらいみておけばなんとかなるかな、と出発前は考えてた。
が、甘かった!!!
1公演も観られずに帰ってきたよ。
パリに住んでいるのならまだしも、はるばる遠征していって公演キャンセルとは泣くに泣けない。毎日午後になると、「今夜の公演は残念ながら中止です」とメッセージが届く。その連続。
公演が観られなかった悲しさはもちろんあるけど、これほどのストをやらざるを得ないダンサーたちの状況を想像すると、とにかく複雑な気持ち。
だって、踊りたいに決まってるじゃないですか。たくさん準備を重ねてきて、今回やっとチャンスをもらったり、今がダンサーとして旬だったり、定年まで残り少なかったり、もしかしたら将来の昇進にも影響するかもしれない。それこそ定年42歳という限られた現役時代の貴重な時間と引き換えにしているわけだから。
芸術・芸術家が大切にされているフランスであっても42歳定年で年金が出るのはパリ・オペラ座だけらしく、それを”恵まれ過ぎた特権だ”としてはく奪する方向に向かうとしたら、ダンサーという職業全体にとって大きなマイナスの影響がある。それに公務員だから他国のバレエ団と比べて給料が高いわけでもないという。早期引退後の年金なしに、今のオペラ座のレベルを維持していけるんだろうか?
だからさー、政府にはさっさと改革案を引っ込めてもらって、ストが終わって公演が再開されてほしいよ!!
そもそも今回のパリ行きは、来年2月のパリオペ来日公演の演目が「ライモンダ」から「ジゼル」になっちゃったことが発端で、12月のパリなら「ライモンダ」と「ル・パルク」両方観られるしな、ということだったんだけど、結局パリまで行っても観られなかった。パリでも久しぶりの上演だったのに、結局2公演しかやってない。大赤字でしょうね。。
なんなら日本公演にライモンダ追加でもいいよ…。
パリオペがない代わりに急きょ見てきたやつ。
昨年パリオペを引退したエトワール、カール・パケット率いる子供向け「白鳥の湖」。
全2幕構成で、幕の始めに簡単な説明が入るのでバレエ初めてのちびっこも安心。
カールさんは王子の家庭教師なのに実は白鳥たちを操る悪いやつ、というヌレエフ版を彷彿とさせる役でした。あんまり踊らないけど、エトワールが1人舞台にいるだけで全然違うんだよね。振付や演出は、まあ、子供向けだしね、という感じで、特に古典の3幕にあたる部分に謎の変更がされていた。
ますますパリオペ観たくなるという効果もあったな…。
客層はほんと幅広くて、もちろん家族連れが多いのだけど、特定の層に偏ってる感じがなくて、お父さんおじいちゃん含めみんなで観に来ている子たちが多くて賑やかだった。
ここからスタートして、この先の頂点にオペラ座があるのだなあ。
もうひとつ。パリでミュージカル観るの初めて。「パリのアメリカ人」
シャトレ座も歴史ある劇場でちょっと舞台が観にくかったのと、時差ボケと疲れの影響もあってあんまり楽しめず。
旅先ではありがちだけど、観る側のコンディション大事。