アートなしには生きられない

バレエ、ダンス、クラシック音楽、美術館などシンガポール・東京でのアート体験を中心に。

パリオペラ座バレエ団『ミルピエ/ロビンズ/バランシン』(2015)inシネマ

ロイヤルなどは今シーズンのものを上映しているのに、なぜパリオペは過去シーズンのなのだろうか。

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これは2015年9-10月の公演。ミルピエの≪Clear, Loud, Bright, Forward≫、ロビンスの≪Opus 19/ The Dreamer≫、バランシンの≪Thème et variations≫というトリプルビル。

 

ミルピエのは以前ドキュメンタリー映画で創作過程を観たやつ。外部からパリオペラ座の芸術監督に就任したバンジャマン・ミルピエはダンサーのヒエラルキーを無視して若手ダンサーを重用した。今回シネマでその完成形を観られるということで、映画
RELÈVE : Histoire d'une Création≫のDVDで記憶を呼び出してから映画館に行った。

 

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ちょっと脱線してこのドキュメンタリー映画の感想を書くと、ミルピエは2年で辞職することになるわけだが、良いものも残したと思う。床を改良したり医師やマッサージ師を雇ったり。そして重用された若手ダンサーたちにとっては「自分の居場所を得た」大きな特別な経験。通常では考えられないようなキャスティングも実現した。(主役にコリフェなどから抜擢)

しかしこのドキュメンタリーで見る限りでは、ミルピエにはパリオペはあまりに古臭い組織に見えており、エトワールやエトワールを頂点とするダンサーたちのことを軽視していると感じる。実際、一部エトワールからはミルピエ批判があった。

 

そしてこの≪Clear, Loud, Bright, Forward≫の創作では、ミルピエにとっても若手ダンサーたちのおかげで引き出された面があったのでは。ミルピエもダンサーたちも充実していて楽しそうで、ダンサーたちが自信に満ちていて。その後アクセルはミルピエのL.A.DanceProjectに1年間所属することとなり、そのシンガポールツアーで私はL.A.DanceProjectの一員として踊るアクセルに再会したわけだ。いろんな巡り合いがある。

 

映画館で観た完成形は結構よかった。ミルピエによる「俺が選抜した真のパリオペトップダンサーはこれだ!」感。すごいプレゼンテーションだよね。なんて、私のミルピエあんま好きじゃない感が漂ってしまっているが(笑)。特に当時21歳のユーゴ。あの成熟度は凄い。レオノールとユーゴのPDDが一番見応えあった。

 

2作目≪Opus 19/ The Dreamer≫はアマンディーヌ・アルビッソンとマチアス・エイマンという大好きなダンサーによるもの。が、なんだろう…2人の踊りは大好きなのにちょっと眠くなってしまった…。ショック。

 

気を取り直して3作目。バランシンのテーマとバリエーションは2017年の来日公演の演目にもなっていた。ローラ・エケとジョシュア・オファルト。クールビューティーなペア。来日でヴァランティーヌとアリュで観た時、こんなバージョンもあるんだ!と新鮮だったように、タイプによって全然違うね。最後は華やかに終演。

 

ミルピエはアメリカでキャリアを築いた人なので自分の作品とロビンズ、バランシンを並べたのだろうけど、どうなんだろなこの”アメリカンプログラム”。トリプルビルとしてはちょっと魅力に欠けるような気がした。

 

どうせ過去の公演を映画館上映するのなら、2018年のTHIERRÉE /​ SHECHTER /​ PÉREZ /​ PITEの公演やってくれないかな!!!クリスタル・パイトの≪The Seasons' Canonが大スクリーンで見られるなら絶対にリピートすると思う!あれなら何度見てもいい。

 

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