アートなしには生きられない

バレエ、ダンス、クラシック音楽、美術館などシンガポール・東京でのアート体験を中心に。

英国ロイヤルバレエ団トリプルビル in シネマ(2019/2020)

ロイヤルの公演を映画館で観る、今年1本目はマクミラン、アシュトン、ヌレエフのミックスプロ。

コンチェルト/エニグマ・ヴァリエーション/ライモンダ 第3幕 | 「英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン」公式サイト

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『コンチェルト』
【振付】ケネス・マクミラン 【音楽】ドミトリー・ショスタコーヴィッチ

 ロイヤルでマクミランと言えば『ロメオとジュリエット』『マノン』『マイヤリング』に代表される演劇的バレエ。が、今回上演の『コンチェルト』はショスタコーヴィチのピアノコンチェルト2番の視覚化。抽象バレエ

これがおもしろい!まさに音楽が流れだすかのような見事な振付。全く古さを感じさせない、むしろ新しいと感じる。マクミラン作品、新たな発見だった。特に2楽章のヤスミンと平野さんが素晴らしく、音楽の美しさと相まって至福。ヤスミンの美しさはもちろんだけど平野さんの滑らか且つ力強いリフトがあってこそあの音楽が実現している。あのスムーズなムーヴメント凄い。3楽章は爽快。

 

エニグマ・ヴァリエーション』
【振付】フレデリック・アシュトン 【音楽】エドワード・エルガー

対照的だったアシュトンの本作。古き良きヴィクトリア朝時代、といった雰囲気でお芝居の比重が大きい。ロイヤルのベテランダンサーたちの存在が活きていて、これぞロイヤルの個性だなあと感じさせる。

個人的好みとしては『コンチェルト』がとても良かった分、ちょっと牧歌的でまったりしてしまったかな。なかなか観る機会のなさそうな作品なので、この機会に知れてよかったけど。

 

『ライモンダ第3幕』
【振付】ルドルフ・ヌレエフ 【音楽】アレクサンドル・グラズノフ

さて『ライモンダ』と言えば、昨年12月にパリまで観に行ったのにストで観られなかった”因縁の”作品でありヌレエフのグラン・バレエ(の第三幕)という期待があった。それにワディムのジャン・ド・ブリエンヌも楽しみにしていた。

私がこれまでロイヤルで観ている作品は主にマクミランとコンテで、こういった古典ではあまり見ていない。しかもヌレエフ版、どうしてもパリオペと比較してしまう。ハンガリーの踊りではそこまで気にならないけど、その後のヴァリエーションやパ・ド・キャトルなどでは、クラシック・バレエとしての踊りが隠しようもなく見えるわけで、そうすると意外と「うーむ」となった。

なるほどロイヤルは、こういったテクニックには強いわけではなく、物語を演じる力で舞台が成されているのだな。というのが見えた気がした。

ワディムのノーブルさ、脚のラインなどが好きなのでその点では満足。オシポワのライモンダはめちゃくちゃパワフルで個性的で、ちょっと笑っちゃうほどだった!ダンサーの多様さがあるロイヤルにあってもなお異質な個性を放つオシポワ。強い。

 

キャスト詳細などはこちらから。

Concerto / Enigma Variations / Raymonda Act III (2019) — Cinemas — Royal Opera House

 

ところでチケット買うときびっくりしたんだけど、3700円ってお高くない??値上がりしたのかな。

シンガポールなら20ドル(約1600円)なのに…。差額は日本語字幕代なのか?