いい映画だった!
普段だと、コメディや子供が主役の作品はあえては選ばないのだけど、”笑い”って重要だなって。そこで描かれてるのは皮肉や風刺であり、思わず笑っちゃうけどよく考えると笑ってる場合じゃない。何重にも大きなテーマが含まれていて、多くのことを考えさせられる映画。
戦争があり、ヒトラーがいて、ナチ党があり、彼らに熱狂し盲目的に従った大衆がいた。戦争をしたがる人たち、美化したがる人たち、喜んで戦争に参加し、傷つき、死んでいく人たち。”強い者”に惹かれ付き従い、それによって自分も強い側だと感じ喜びを得る人たち。誰かを「敵」と設定し、差別し、虐めて、喜ぶメンタリティの醜さよ。
ま、現代にもいるよね、その辺にも。
大きいものに巻かれ、自分も大きくなった気になる大衆がいる一方で、それらに抗った人たちもいた。その抗い方は様々だったけども。そして、多くは死んでいった。辛い。
母親との暮らし、匿われていたユダヤ人少女との関係、大尉の存在などで、戦争映画でもなく、親子の物語でもなく、恋愛映画でもなく、コメディでもお涙頂戴でもなく、でもなんだろうこの満たされた感じ。
ところでドイツが舞台だけど英語なのねーと思ったんだけど、HP見たら主な役者さんたちはイギリス、ニュージーランド、オーストラリア、アメリカと多国籍で、監督はニュージーランド出身(で監督自らヒトラー役で出演)。
多様さって大事だと思うのよ。作品でも描かれているけど、差別や無根拠な憎しみというのはその多くが無知から来るし、未知への恐れでもある。自分とは違う誰かを知ろうとすること、自分とは違ってもみんな同じ人間であること、というのは、多様な社会でならいやおうなしに触れること。
監督の反戦、反ヘイトのメッセージが詰まった作品だった。
アカデミー賞獲ってほしい!(「パラサイト」に続き2作目(笑))