アートなしには生きられない

バレエ、ダンス、クラシック音楽、美術館などシンガポール・東京でのアート体験を中心に。

Midsommar(ミッドサマー)

ある時点で、どうして観に来ちゃったんだろう、という思いが頭をよぎったんだけど、なぜか目が離せなくなるやつ。

 

映画『ミッドサマー』公式サイト

 

アメリカ人の学生4人がスウェーデンからの留学生の友人の地元で行われる特別な祭り・儀式を見に(夏休みと研究を兼ねて)行くのだが、そこは…という話。

 

露出過多という雰囲気の、ああ北欧の夏、という光の映像が景色も色味も美しく、白夜という”異常”な世界でならもしかしてあるかもな、とちょっと思ってしまったりして。

 

主人公デニー自身の過去の事件にまつわる精神の不安定さと、彼氏クリスチアンとの関係の微妙さ、それをもって訪れた一見平和でのどかで牧歌的なコミュニティに漂う違和感。何重にも不安定で、見ててずっとざわざわさせられる。

 

心の準備がないところに突然の衝撃映像とかやってきてぎょえーってなったりするんだけど、こっちはこんなにショック受けてるのに、村人たちは全く動じてないそのギャップが怖さを煽るよね。。

 

そして最後だけど、あの表情から何を受け取るか。私は、そうか、しあわせに暮らすのかもしれないな、と思った。それまでの不安定さに決着がついたというか。

 

でもまあ、これは意見が分かれそう。そして誰にでもはオススメはできない(笑)

 

田舎の閉鎖的なコミュニティ独特の、外部から見たら異常だったり野蛮だったりする”習慣”や”祭り”、というのは考えてみれば日本にも結構あるのではないか。それを伝統や文化だから”オープンな心”で受け入れるべきなのか、というのは、わりとよく突き付けられる話かも。逆に自分の物差しで全否定するのも乱暴だし。難しい。

 

閉じた小さなコミュニティというのは、そこに一体化できる人にとっては非常に居心地が良くて何も考える必要がなくなる。でも一体化できない人にとっては地獄だよね。逃げ場がない。そこで生きていくためには一体化せざるを得ない…。怖い。

 

見終った直後はうわー選択間違えたーと思ったんだけど、その後じわじわ考えが広がって、実はとても深い映画だと思った。

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