アートなしには生きられない

バレエ、ダンス、クラシック音楽、美術館などシンガポール・東京でのアート体験を中心に。

映画版『ロミオとジュリエット』

バレエは当分観ずにいようと思ってるのだけど、映画は別枠で。マクミラン版バレエ『ロミオとジュリエット』をロイヤルバレエのダンサーたちで映画化。

 

映画『ロミオとジュリエット』公式サイト

 

これは完全に別物だった。舞台ではないし、お芝居でもない、舞台よりずっとスケールの大きなセットでリアリティもある、けど喋らない、みたいなところにちぐはぐ感があった、最初だけ。すぐ慣れたけど。

 

バレエのロミジュリと比べて本編95分と短い。どんどん進む。そして一部聴き慣れない音楽(アレンジ)がある。幕間や場面転換の時間がない分、テンポ良く進むのが良いような悪いようなで、ちょっと展開早すぎるのではと感じたところもあった。

 

バレエとして観るにはカメラワークが気になる。でもまあライブビューイングじゃないもんね。これはこういう作品。ロイヤルのダンサーたちが、映画でもこんなに映えるというのがすごい。普段から演劇バレエに強いカンパニーならではの試みかも。舞台上という制限がなくなった分、場面から場面への移動や、雑踏の音や雰囲気、自然の風に吹かれながらのバルコニーPDDなど、映画だからこその場面も多い。

 

最も見応えがあったのは、薄暗い部屋で飲んだくれているティボルト(ボール)が賑やかな広場にイラついて部屋を出て行き、マキューシオ(サンベ)に絡んで剣を交えるところ。舞台でのティボルトではああいうイラつきは描かれていないけど、映画ではティボルトの性格や普段の生活がより想像できる。あれは単に家同士の対立だけじゃないんだな。ティボルトがロミオ(ブレイスウェル)たちと同世代であることで、やり合いがより対等というかリアルというか。そしてなんといってもダークな光を放つボールの魅力な…。LVではボールのロミオにあんなに感動したのに。多面だ。

 

マキューシオの死からティボルトの死までも圧巻。ダンサーが演じてるとは思えない、と言ったらおかしいけど、踊ってなくても演じる力。

 

フランチェスカのジュリエットは本当に少女のようで可愛くて、映画版にぴったり。ロミオと出会ってから結婚するまでがあっという間過ぎて、え、もう?っとなったんだけど(笑)。ブレイスウェルはロイヤルの舞台では記憶にないのだけど、前半の近所の若いにいちゃんが仲間と調子に乗ってる感じがちょっと”庶民”過ぎる気もした。ここは好みの問題だな。

 

主なキャスト:

ジュリエット:フランチェスカ・ヘイワード
ロミオ:ウィリアム・ブレイスウェル
ティボルト:マシュー・ボール
マキューシオ:マルセリ-ノ・サンベ
ベンヴォーリオ:ジェームズ・ヘイ
パリス:トーマス・ムック
キャピュレット卿:クリストファー・サウンダース
キャピュレット夫人:クリステン・マクナリ-

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