アートなしには生きられない

バレエ、ダンス、クラシック音楽、美術館などシンガポール・東京でのアート体験を中心に。

ENCORE パリオペラ座バレエ団『ラ・バヤデール』≪L'Opéra chez soi≫

購入から7日間のみ視聴可能と思っていたのだけど公開期間が12/31まで延びた!(歓喜)というわけでありがたくリピートしている。

 

La Bayadère - Live - L'Opéra chez soi

 

主役エトワールたち以外にも見どころが多い『ラ・バヤデール』。今回は1回限りの公演ということもあってか配役が豪華。プルミエの起用の仕方は、ぜいたく~と思うと同時にちょっと切なくもあるような。

 

例えばシャイエの大僧正。もちろん重要な役だし、エロおやじ感のない若い大僧正はなかなかよかったんだけど、踊らない。そしてオドリック。ニキヤのサポートとしてのみ出演よね。もちろんドロテと組むわけだから誰でもいいわけはないけど、あくまでドロテの引き立て役…。

プルミエールではパクさん、シルヴィア、八菜さんの3人の存在感は大きかった。2幕Pas d'action の華やかなこと。2幕はここに至るまでにコールドの踊りがいくつかあって、キャラクターダンス、有名なIdole dorée(ポール・マルク)、Manou(マリーヌ・ガニオ)らを経て、徐々に主役の踊りへと登り詰めていくグラン・バレエらしい構成がとても見ごたえある。

たくさんの踊りとダンサーを経由して登場するガムザッティのヴァランティーヌ!さすがエトワールの華とテクニックと存在感。アマンディーヌのニキヤに釣り合うためにもやはりヴァランティーヌレベルが必要だった、という感想。

 

しかし数年前にはアリュがソロルを踊ったり、八菜さんがガムザッティやったりしてたんだもんね。今は通常時ではないとはいえ、ここ数年のキャスティングはプルミエにあまりチャンスが与えられてないように感じる。私がパリオペを見始めたのは2005年頃からだけど、当時はシリーズ中必ずプルミエやスジェのダンサーが主役を踊っていた(と思う)。ミルピエ時代にはスジェやコリフェが主役に抜擢されることも多く、階級軽視と批判も出ていた。

 

今は女性エトワールが充実していて、クラシックの全幕を踊れる充実期にあるダンサーが何人もいるので、なかなか若手にとってはチャンスが少ないんだろうなー。

一方男性エトワールは5人と少なめだったので、そういった事情もポール・マルクのエトワール任命につながったのだろうな。オドリック、フロリアン、ヴァンサンというベテランプルミエらが任命される可能性は、オレリー監督下では低そう。そして、アリュ。。

オレリー監督下での昇進を見ると、パリオペの中でも目を引くフレンチスタイルを体現し美しいラインを持ったダンサーで、さらにエトワールになるには20代のうちでないと難しそう。パクさんやシルヴィアにチャンスは来るだろうか。

 

まあ、素人の勝手な妄想だけど。

 

と同時に今回の『ラ・バヤデール』を見ると、やっぱエトワールは違うわ!となる気持ちもある。若手が経験を積む機会がなくなってしまっているコロナ禍。早く通常通りの公演ができるようになることを願わずにはいられない。

 

 

今年はまるまる1年日本にいたことになる。それって何年振りだろう??

生の舞台を観る回数はとても減ってしまい、来年も少なくとも前半は見込み薄。

 

一方で、ロックダウン中に世界中の団体がたくさん動画を見せてくれたので、初めて観たカンパニーや作品も多かった。生の舞台の場合チケット代がそれなりに高いので、なかなか一か八かの勝負はしにくいけど、オンラインでは手軽に幅広いものを観られて、あらたな発見や、自分の好みについても気づきや悟りがあった。

 

それにしても、まさかこんな事態になるなんてね。人生何があるかわからない。やりたいことは先延ばしせずに、できるときにやっておこうね。しみじみ。

来年はいい一年になりますように。