アートなしには生きられない

バレエ、ダンス、クラシック音楽、美術館などシンガポール・東京でのアート体験を中心に。

歌舞伎座 四月大歌舞伎『桜姫東文章』上の巻

今月の歌舞伎座の話題はなんといっても仁左衛門玉三郎の『桜姫東文章』。

 

www.kabuki-bito.jp

 

チケット取るのも大変だったんだけど(売り切れてしまったので戻り待ち)、劇場での、イヤホンガイドを借りるのに行列、筋書きを買うのに行列、舞台写真を買うのも行列、とコロナ禍では感じたことがなかった熱気があった。

 

「やばい」「エロい」と多くの人が語彙を失う(笑)例の場面は、確かにいけないものを見てしまった感があり、性別も年齢も超えた芸の力に圧倒される。歌舞伎の様式美の多機能さでもあり、演じる俳優2人の積み重ねてきた経験と力量ゆえでもあり。

 

ただこの狂言のおもしろさは清玄にあるなあと思う。年月や、いくつかの大きな転機を経て、変貌していく清玄の姿。人間の弱さ、執着、恐れ。権助との二役演じ分けもさることながら、清玄という人物一人にしても、変化していく心の内の表現が素晴らしい仁左衛門さん。

 

例の場面の衝撃が大きすぎてそちらの情報が先行していたけど(私の周辺では)、それはあくまで一部分であって、大きな物語なんだなあと感じた。予習せずに行った私の感想。

 

この先物語がどうなっていくのか、6月の下の巻もぜひ見なくては。

またチケット争奪戦でしょうか。

 

f:id:cocoirodouce:20210419105457j:plain