今月の歌舞伎座の話題はなんといっても仁左衛門と玉三郎の『桜姫東文章』。
チケット取るのも大変だったんだけど(売り切れてしまったので戻り待ち)、劇場での、イヤホンガイドを借りるのに行列、筋書きを買うのに行列、舞台写真を買うのも行列、とコロナ禍では感じたことがなかった熱気があった。
「やばい」「エロい」と多くの人が語彙を失う(笑)例の場面は、確かにいけないものを見てしまった感があり、性別も年齢も超えた芸の力に圧倒される。歌舞伎の様式美の多機能さでもあり、演じる俳優2人の積み重ねてきた経験と力量ゆえでもあり。
ただこの狂言のおもしろさは清玄にあるなあと思う。年月や、いくつかの大きな転機を経て、変貌していく清玄の姿。人間の弱さ、執着、恐れ。権助との二役演じ分けもさることながら、清玄という人物一人にしても、変化していく心の内の表現が素晴らしい仁左衛門さん。
例の場面の衝撃が大きすぎてそちらの情報が先行していたけど(私の周辺では)、それはあくまで一部分であって、大きな物語なんだなあと感じた。予習せずに行った私の感想。
この先物語がどうなっていくのか、6月の下の巻もぜひ見なくては。
またチケット争奪戦でしょうか。