アートなしには生きられない

バレエ、ダンス、クラシック音楽、美術館などシンガポール・東京でのアート体験を中心に。

歌舞伎座 初春大歌舞伎『義経千本桜』

歌舞伎座第三部、行ってきた。

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三代猿之助四十八撰の内
義経千本桜 川連法眼館の場

 

ということで猿之助さんの忠信を堪能してきた。いやあ、なんと緻密な役作りとキレ味。さすがの見応え。

 

「四の切」は先代猿之助さんのも子供の頃に観ている。もちろん細かいところは覚えてないんだけど、あの早変わりの速さや意表を突く出方などは記憶にあって、詳しいことはわからずになんとなく見ていてもあのインパクトはすごかったんだなと、そんなことを思いだしたりもした。

 

それにしても速い!裏では一体何がどう行われてんの??ってそれを種明かししてはいけないんだろうが、見事すぎる早変わり。

 

そして本物の忠信と実は狐の忠信の演じ分けの緻密さ。目線の動かし方、指先の使い方まで本当に細かく細かく考えられて演じられているんだなあ。

そしてそれを連日演じている猿之助さん凄い。アクロバティックで派手な面にまず目が行くわけだけど、やっぱりお芝居として考え抜かれているのだなと感じる。

 

芸の力と体力のバランス。バレエダンサーにも言えることだけど、人として、役者としての充実度と体力、身体能力のピークはそれぞれ違う時にあることが多いわけで、両方が充実しているからこそできる役というのも、ある。

だからこそ、今見ておかねば、となる。

 

猿之助さんのインタビュー記事によると前回の「四の切」は2016年だそうだから、私はそれは日本にいなかったし見てないんだ。約5年を経てご本人の中でも変化や発見などがきっとあるんだろうな。

【歌舞伎インタビュー】久しぶりの「宙乗り」、懐かしい景色でした―「寿初春大歌舞伎」市川猿之助さん | 紡ぐプロジェクト

 

そういうことは見る側が大人にならないと気づかないことも多々あるので、役者側だけでなく観客側も自分の変化や成長(だといいな)を感じられるんだよね。

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猿之助さんはドラマでの活躍もあるので知名度もあるし、歌舞伎での猿之助さんをまだ見たことない人が足を運んでくれるといいなー。

 

第三部前半『岩戸の景清』は花形役者の揃い踏みといった感じの華やかな舞台。イヤホンガイドでも「錦絵のような華やかさ」と言っていた。確かに絵的に美しい。

この世代の皆さんが今後どう活躍されていくのか。私はまだなじみのある役者があまりおらず、全体を眺めるように鑑賞。ひとりひとりがより重み、厚み、引力みたいなのを増していくことが必要なんだろうな。なんて、素人が勝手なこと言ってすいません。

 

あ、あと、「めでたい焼」が復活!おめでとうございます!

開演前に3階のお店で3個入りか5個入りを注文しお金を払っておいて、終演後に1階で受け取り。あつあつを幕間に食べるのはまだできないけど、買いました。がんばって続いてほしい。

 

こんな感染状況なので心配はあるのだけど、二月は第二部で仁左衛門さんの義経千本桜、第三部で菊之助さんの鼠小僧を観たいのだ。

舞台、止まらないで。(祈)