アートなしには生きられない

バレエ、ダンス、クラシック音楽、美術館などシンガポール・東京でのアート体験を中心に。

勅使川原三郎版「羅生門」

1か月半も劇場や映画館から遠ざかってしまった。

ガルバン以来、ひさしぶりの劇場へ。

 

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感染状況の悪化もあって、劇場に行く気持ちが萎えていたのだけど、リアブコさんが来日してくれて、踊ってくれるとなると行くしかない。

 

感染者数が日々最多を更新するような中で久しぶりに出かけたのと、客席が市松ではなく前後左右が埋まる状況にどうも落ち着かず、ざわざわした気持ちのまま開演したのだ。

 

で、最初のあのサイレン。もう、バクバクしてしまって。

このコロナ禍の状況と、あの芥川の羅生門の世界。だぶるものがある。

悪夢のような状況下でどう生きるか。何が許され、許されないか。人間性が問われる。

 

勅使川原さん、ライティングさすがで素晴らしい。もちろん踊りもキレキレ。佐藤さんも勅使川原さんも変わらずすごいなーと思うのと、そこに違う身体性を持ったリアブコさんが入ると世界に厚みが出る。ああいう深い解釈を求められる作品というのはリアブコさん得意そう。佐藤さんとのデュエットではドキドキした。(もっと踊ってほしいけど)

14日間の隔離期間、リモートでの振付など制限のある中でのクリエーションだったそうだから、もっとリアブコさんを…というのは難しい話だったのかもしれない。そしてバレエダンサーが勅使川原踊るとこういう感じだよね!というなつかしさみたいなのもあった。(笑)

 

しかし今のこの、心が波立った状態で見るには刺激が強く、いや、刺激というか重みがずっしりというか、今の私はどんな作品に一番しっくりくるんだろうとも考える。

 

優しく癒してほしいのではない。そういうのは求めてない。

ただ、劇場から遠ざかってる自分の感度が落ちてるのかなあとか、以前のように戻れるんだろうか(感覚的に)とか、色々考えてしまう。

 

コロナ禍が長引くと、鑑賞脳や鑑賞筋肉が衰えてしまって、元には戻らないのではないか。パリまで出かけていくのが面倒になってしまうのではないか。12時間のフライトが耐えられないのではないか。

 

ちょっとそんな考えに怯えているこの頃…。

 

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