アートなしには生きられない

バレエ、ダンス、クラシック音楽、美術館などシンガポール・東京でのアート体験を中心に。

パリオペラ座バレエ団『シンデレラ』(2018)inシネマ

映画館の大スクリーンで観る『シンデレラ』。

2018年12月31日、カール・パケット引退の日。

 

www.culture-ville.jp

 

なぜパリオペのシネマは過去公演ばかりなのかと毎度不満に思いつつ、こうやって思い出の公演を大スクリーンで観られるというのもまた、特別な体験。(でもやっぱり新しいの観たいのでよろしく頼む!!!)

 

当時、カールさんはなぜ『サンドリオン(シンデレラ)』を引退公演の作品に選んだのかと謎だったんだけど、今回あらためて見てみて、これだけ多くのダンサーが男女とも登場する作品はなかなかないかもな、できるだけ多くのダンサーと舞台を共有したかったのかな、と思った。特に男性ダンサーがたくさん出てるし一緒に踊る場面も多い。(身体的負担のレベルというのも選ぶ際にはもちろん考慮するだろうけども。)

 

たくさんの笑いがあり、しあわせな気持ちいっぱいで終わる。それがとてもよかった。

 

そしてつくづく愛されたダンサーだったよなーと。恵まれた身体条件というわけでも、特別美しいラインを持っているわけでもないけど、その人柄がにじむ舞台であったり、怪我をしない身体であったり、共演者からの信頼であったり。最後まで温かい舞台だった。

 

オンラインで数回見たはずだけど、映画館のスクリーンで集中して観てみると、あれ、こんな場面あったっけとか、これ踊ってたのあの人だったのかとか発見がある。本当に記憶ってあてにならない!悲しい!

 

大階段の上に登場したカールさんに贈られる熱い熱い拍手。ムネアツ。

そして靴の片方を持ってあちこちを探し歩いていたカールさんが屋敷にやってきて、サンドリオンは大事に持っていたもう片方の靴をそっとカールさんの前に置く。足を入れてみせようとするサンドリオン。カールさんの、「いや、その必要はないよ」で泣いたーーー。(※セリフはありません)

 

そして最後のPDD。優しく美しく、しあわせに満ちていて観ているこちらもしあわせ。今年1本目、いい選択だった。

 

他にもすでに引退してるアレッシオが出ていたり、その後エトワールになったポール・マルクがバレエ教師役。こうやって若い世代につながっていくんだなー。

 

実はこの日の公演のチケット買ってあったのだけど、諸事情により渡仏が叶わず若い友人に譲ったの。どうせなら若い人にぜひ見てほしくて。

 

私がパリで生で観ていた頃はアニエスサンドリオンやジョゼの継母役などが印象深く、あの姉妹役や継母役を面白おかしく演じるパリオペダンサーたちに驚いたり笑ったりで、思い出に残った作品のひとつ。

 

パリオペサイトからこの日のキャスト。

Cendrillon :Valentine Colasante

L' Acteur-vedette :Karl Paquette

Les Deux Soeurs :Ludmila Pagliero,Dorothée Gilbert

La Mère :Aurélien Houette

Le Producteur :Alessio Carbone

Le Professeur de danse :Paul Marque

Le Printemps femme :Marion Barbeau

L'Eté femme :Émilie Cozette

L'Automne femme :Sae Eun Park

L'hiver femme :Fanny Gorse

Le Directeur de scène :Nicolas Paul

Son Assistant :Francesco Mura

Le Père :Pierre Rétif

 

あれはコゼットだったか。彼女も来シーズンあたり引退だろうか。

 

サンドリオン』でこんなにジーンと感動するとは思わなかったけど、私がパリでバレエを見始めた頃にたくさん見てたダンサーの1人がカールさんなので、ちょっと特別な気持ち。観に行って良かった。

 

しかし!!お願いですからミリアムとマチアスの『ロメオとジュリエット』も日本公開ぜひとも、ぜひともお願いいたします。

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