アートなしには生きられない

バレエ、ダンス、クラシック音楽、美術館などシンガポール・東京でのアート体験を中心に。

Men(MEN 同じ顔の男たち)

happinet-phantom.com

 

今年の映画館1本目。気になってたけど去年見逃した中から、新年らしさからはほど遠いやつを観てしまった!(笑)

 

以下は、本作を未見でこれから見る予定の人は読まない方がいいかもとお伝えしておく。

 

 

私は最後の方、「ハーパー!斧があるよ!やっちまえ!!!」みたいな気分で観た。前半が鳥肌が立つようなぞーっとすることが起きるのに対し、終盤のあれはむしろ笑えてくる。ハーパーの諦めと呆れ。共感する。何度つぶしても、何度拒否しても、次々に現れるMEN。

 

ハーパーは離婚について激しく口論した直後、夫の死を目撃してしまい、ショックと罪悪感を癒すために田舎の素敵な屋敷での滞在をスタートする。ちょっと豪華すぎたかなと言いつつ美しい屋敷や田舎の景色を楽しむ。はずが。

 

ハーパーの前に現れる男たちに、観てる私の神経も逆撫でされる。直接的な”被害”がなくても、現実世界においてはこういう言動に常に警戒モードをONにしていなくてはいけないのよね。それらを忘れるためにわざわざ田舎の屋敷に出かけたのに、結局はいつもの”男たち”に不快な思いをさせられる。

 

最後の最後、あれだけのことをしておいて、何が欲しいって「愛」ってさあ。呆れかえるわ!嫌われることしかしないでおいてそれを言えるの凄くない!??厚かましいにも程がある。

 

ハーパーを演じたジェシー・バックリー素晴らしい。

そしてローリー・キニア…ほんと気持ち悪い(素晴らしい演技力)。

 

これは女性と男性で作品の見方も感想も大きく違う可能性。「怖い」「気持ち悪い」という感覚の違いというか、経験の差というか。もちろん性別だけで決まるわけではないが。前半より終盤が(絵的に)気持ち悪いと思った人は男性が多そう。前半の怖さ、気持ち悪さというのがピンと来ない人は、似たようなことをしている側かもしれないから気を付けた方がいい。かもね。自分の無意識を意識するのは難しいことだけど。

 

それにしても序盤の映像の美しさね!美しすぎて嫌な予感がするけども。ハーパーは1人きりであんな大きな屋敷に滞在して、人気のない森の中の小道もずんずん進むし、私だったら全然リラックスできない!!と思った。自分がハーパーの立場だったらどんな場所を選ぶだろう。

 

散歩中に雨が降ってきて雷が鳴って、ハーパーの気持ちが浄化されてる感じの場面、よかったな。