世界的な#MeToo運動のきっかけになった取材と記事。その過程が描かれる。
ハーヴィー・ワインスティーンがやってきたことにはまじで反吐が出るレベルなんだが、被害にあった女性たちの証言からわかるのは、そのことが彼女たちの後の人生にあまりに大きな影響を与えていること。
※作品公式HPでは”ハーヴェイ・ワインスタイン”と表記してるけどなぜそんなに元の発音からわざわざ変えるのか。
働き始めて間もない若い女性がターゲットにされ、自分が悪いと思ってしまう。権力勾配として10対0なのに。NOと言えなかった自分が悪い、示談に応じた自分のせい、など。口をふさがれたままの人生の辛さについて、これまで大きな被害の1つとしてちゃんと認識していなかったなということにも気づいた。その場限りのことでは全然ない。人生そのものにあまりにも影響がある。なんて罪深いんだ。
勇気をもって告発したことが、彼女たちの現在にプラスの影響になっていることを願わずにはいられない。いや、きっとなっているはずと思う。自分の声を聞いてくれる人がいる、信じてくれる人がいる、という事実だけですでにプラスだと思う。思いたい。
そしてジャーナリズム、調査報道の果たす役割の重要さ。これも痛感する。日本にこの力があるだろうか。希望が持てなくて悲しい。
MeTooの世界的な沸騰度合いに比べて日本国内がさほどでもなかったように感じるのは、”Me too.”と言える状況にすらまだ達していなかったからかもしれない。
あれが2017年で、それから少しずつ、権力を持つ者から被害を受けた訴えが表に出るようになってきているとは思うけど、声を上げた人を支持したり守る声より非難する声が大きい社会では、告発する決心がつかないことを責められない。
この映画でも描かれているけど、加害者を守るように仕組みができていることが問題なのだ。
この世の中に一体何人のワインスティーンがいるのか。ぞっとするよね。
記者のうち1人は出産のあとの産後鬱の様子も描かれてる。あれほどのことを成し遂げた記者たちも普通に家族を持つ女性で、有能で意志のある記者でもある。彼女たちの背中を押し、支えるNYTimesの上司らも頼りになる。
いろいろ考えさせられるなー。
報道記者の2人、ミーガン・トゥーイーとジョディ・カンターのインタビュー記事。とてもよい。
衝撃のスクープを報じたジャーナリスト2人が明かす、映画『SHE SAID/シー・セッドその名を暴け』の舞台裏 | Vogue Japan