アートなしには生きられない

バレエ、ダンス、クラシック音楽、美術館などシンガポール・東京でのアート体験を中心に。

Notturno(国境の夜想曲)

新たな戦争が起きたばかりの今、みんな見た方がいいかもしれない…。

bitters.co.jp

 

BGMもナレーションもなく、現場の声と音だけで構成されている。シリア、イラクレバノンクルディスタンの国境地帯で3年に渡って撮影されたそうだ。

 

ほんとになんにもいいことない。わざわざ、敢えて、争いを起こす一部の人々によって生活が一変し、子供時代を失い、息子や娘を失い、生きる希望を失う。

 

なんと不毛なことか。人は何のために生きているんだろう。

 

アリという少年(この映画のポスターにもなっている)は日々さまざまな仕事に出る。漁船に乗ったり、鳥を撃つ漁師の手伝いをしたり、日雇いの仕事は声を掛けられるのを道端で待つ。小さい弟妹が5人くらいいて、アリは家族のためにお金を稼がなければならないのだ。本来なら学校に通い友達と勉強し、遊ぶ年齢なのに。

もうね、表情が死んでるの。笑ったり怒ったりすることのない、表情筋を使わなくなった顔。夢も希望もない、すべてを諦めたかのような少年の顔。あんまりだよな。。

 

また、ISISの残虐行為の被害を受け、酷い光景を目の当たりにした子供たちの心の傷。これも辛い。彼らが成長し、大人になって、どうなっていくんだろう。悪夢のような記憶を忘れることはできるだろうか。完全には無理だろう。

子供らの語る内容は、人間にそんな酷いことができるのかと思うような内容なのだが、あ、、日本も戦時中にやってたわ…と気づき、ISISだけの話ではない、他人事だと切り離してはいけないのだと思った。怖いよね、自分や身近な人が加害側になるかもしれないんだから。

 

淡々と景色や人々を映しているのが、観ている者としてはたくさん考える時間と余地があり、効果的なのかもしれない。ここに映っている人たちの今も気になるし。

 

闘いや問題を起こす人、そしてそれに同調していく人たちというのは、目的、目標はなんなんだろうな。自己満足なんじゃないのか?自信や箔のない自分が強く大きく感じられるのか?

 

自分たちのところは大丈夫と思っていても、不穏な気配は漂ってる。多く人が注意深く、そして賢くいなくては。

 

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