ひさーしぶりの映画館。気楽に観られそうなのを選んでみた。
映画でもドラマでも、父と息子の関係をメインにしている作品はあんまり多くないと思っていて、私が最近観た映画でも、父と娘(たち)の話が多かった。
そうなると複雑な気持ちになるんだよね。自分に投影してしまうというのもあるし、ケアを期待され、担うのはやっぱり女性なのか、となるので。作り手とって「娘」の方が作りやすいんだろうなーと思っちゃう。
しかし本作は違う。父フランソワも息子ドニも、どちらも成功している指揮者。しかしあまり仲は良くない。同じ職業で、互いの才能や成功に敬意や憧れと同時に嫉妬が切り離せない。
そういう、男同士の複雑な心境、妬んだり素直になれなかったり、そういったじめっとした感情にちゃんと向き合ってほしいよね。作り手は。(観客も)
身近な現実世界では父親と息子のぎこちない関係というのはわりと見聞きするので。
フランス映画に登場するフランス男は大抵ろくな奴がいないが(笑)、本作もまあそうで、父フランソワの成功した高齢男性らしい傲慢さ、身勝手さ、独りよがりなところなどは、人生のピークを越え翳りを感じていることを差し引いても同情できず、ドニが指揮者という権力を利用しているように見えるヴィルジニとの関係も、なんかなーって思っちゃう。
しかしドニの息子はいい。ここも娘ではなく息子なんだよね本作は。そこは評価する。
終わり方もねー、ちょっと安易だよねー。
ま、現実ではありえないことも映画なら、ね。
クラシック音楽の世界を取り入れた映画というのはフランス映画では結構あるので、それだけクラシック音楽が一般の生活の中にあるということなんだろうなと思う。
舞台を日本にして、例えば伝統芸能の世界の父と息子で映画を作るとしたら、どんな設定がありえるだろうね?やっぱマンガの映画化っぽくなるんだろうか。