アートなしには生きられない

バレエ、ダンス、クラシック音楽、美術館などシンガポール・東京でのアート体験を中心に。

歌舞伎座 九月大歌舞伎

観たい演目が複数ある今月の歌舞伎座、まずは第二部「色彩間苅豆(いろもようちょっとかりまめ)」を観てきた。

 

www.kabuki-bito.jp

 

幸四郎さんと猿之助さんによる舞踊劇。登場人物はほぼ主演の2人のみで50分。最後の攻防はものすごい濃密っぷりで息が止まりそう。歌舞伎画に描かれそうなフォトジェニックな決め(大向こうがないのがさみしいところ)と舞踊による語り。まさしく身体表現。舞踊劇なので清元の存在も大きい。

 

この2人の踊りだから観たいと思ったのだけど、登場人物としての与右衛門(幸四郎)はまあ最悪な男でね。歌舞伎のストーリーとしてはありがちな気もするけど、芸(スキル)を観るのはいいとして、こういう”男の悪事”とそれに翻弄され時に殺される女という姿を、娯楽として楽しめるかというとなあ。

 

なーんていうと、何割の作品が該当してしまうか心配になるけど。

 

古典を現代に上演する難しさというか、単純に再演するだけでいいのかという視点はあるべきだよね。ジャンルを問わず。歌舞伎を見るたびに考えさせられる。個人的には”忠義”と家族の命を天秤にかける(そして”忠義”をとる)ような演目はもう観に行かない。「あれは昔の話だから」と割り切って見られるほどには、現代日本社会が変わったとは思えないので。

 

 

新型コロナ対策での歌舞伎座4部制は気軽に観られていいね。今回は当日の朝にネットで買ったよ。そして劇場に専用のチケット発券機があるのもいいよね。コンビニ発券で手数料取られることもない。

 

と同時に、ずっと1席飛ばしの販売では劇場は厳しいだろう。できる対策を最大限してても戻ってこないお客さんもいるだろう。国による制限が緩和されたとき各団体がどう対応していくのか、一席飛ばしを継続するのか満席販売に戻すのかなど、難しい判断になるだろうな。「緩和するので、あとは各自決めてください、でも感染対策はちゃんとやってね」となるわけだから。

 

私も、前後左右ぎっしりの客席で1時間、2時間動けないとなったら、ちょっと考えちゃうなあ。

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