アートなしには生きられない

バレエ、ダンス、クラシック音楽、美術館などシンガポール・東京でのアート体験を中心に。

The Professor and the Madman(博士と狂人)

良い映画だったーーー(じんわり泣く)

 

映画『博士と狂人』公式サイト

 

学位はないが秀でた言語学者マレーがオックスフォード大学でかつてない英語辞典の編纂に挑む。そこにどうやって”狂人”で殺人犯のアメリカ人マイナーが関わることになるのか、と思いながら観ていたのだけど、「知」って素晴らしいよな!!!と泣いてしまった。

 

「言葉の翼があれば、世界の果てまで行ける」

 

不正確かもしれないがそういったセリフがあった。心に響く。

特に現在、物理的には移動が難しい世界に我々は暮らしていて、けれども言葉や本を通して想像を働かせたり、新しい世界を知ったりできるんだよね。

 

マレーとマイナーの知のやりとり。人は好奇心と学ぶ気持ちがあればどこまでも行ける。そう思わせてくれる。

 

素晴らしい本の山がスクリーンに映るたび、ああ!世界にはまだまだ知らないことがいっぱいある!!時間を大切にしなくては!!という気持ちと、文明が積み重ねてきた「知」のありがたさみたいなものを考えさせられた。(そういう気持ちすぐ忘れちゃうんだけど)

 

舞台は19世紀。そもそもこの英語辞典の編纂の目的というのが世界に誇る大英帝国の”正しい”英語を定義し、広めることであり、英語の権威付け。またオックスフォード大学という権威、王室の権威など、当時の英国人エリートの考えが垣間見える。またイングランド人からスコットランド人への蔑視みたいなものも描かれる。(マレーはスコットランド人)

 

また女性は2人しか出てこないがどちらも子だくさんで(6人とか7人とか)、1人は教育も受ける機会がなかったと想像される。

 

とまあ色々な面で考えさせられる要素が入ってて、あっという間の2時間だった。とてもいいセリフがたくさんあったので原作読みたい!!

 

原作:「博士と狂人 世界最高の辞書OEDの誕生秘話」
(サイモン・ウィンチェスター著/鈴木主税 翻訳/ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

と日本語でも読めるらしいけど、しかしこれはやはり英語で読みたくなるなー。

www.amazon.co.jp

 

 

最近ちょっと気が滅入り気味で、東京では国内のバレエの公演などもいくつもやってたのに全然気が乗らなくて、もう私はこのままバレエからも好きだった他のものからも足を洗ってしまうんじゃないか??と思い始めていた。

 

けれどもこの映画見たら希望が湧いてきたというか(←ちょっと大げさだけど)、人間の知への欲求のなせる技というか、知の力と希望を見せてもらって、元気が出たよ!!知は心を救う。

 

一般人の私は「博士」にはなれないだろうが「狂人」にはなれる!かも!(笑)

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