アートなしには生きられない

バレエ、ダンス、クラシック音楽、美術館などシンガポール・東京でのアート体験を中心に。

My Rembrandt(レンブラントは誰の手に)

予告編でぜひ見たいと思っていたやつ。

ようこそ、アムステルダム国立美術館へ』『みんなのアムステルダム国立美術館へ』のウケ・ホーヘンダイク監督の作品。前のと同様、美術界の裏側を描くドキュメンタリー。

 

映画『レンブラントは誰の手に』公式サイト

 

youtu.be

 

いくつかテーマがある。レンブラントの絵を所有しているスコットランドのバックルー侯爵は、その絵に描かれている読書する女性をまるで家族のように思っていて、父親が飾った場所よりももっと”彼女”にぴったりの場所が必要だと、自宅(城だよねあれ)の中を専門家と探して歩き、”彼女”のために部屋を改装する。

 

レンブラントが描いた先祖の肖像画などを所有するオランダのシックス家の11世ヤン(画商)はオークションで「あれはレンブラント作なのでは?」と狙いをつけた絵を落札し、専門家たちに意見を求める。レンブラントが描いたのか、そうじゃないのか。どうやって誰が判断するのか。さらに専門家や同業者との間に確執も?

 

フランスのロスチャイルド家が所有していたレンブラントが描いた対になってる2枚の肖像画。オランダ国立美術館はぜひ欲しい。フランスは貴重なレンブラントが国外に売られるのは阻止したい。しかしオランダもフランスも単独で買うには値段があまりにも高すぎる。さてどうなる。

 

とまあ、いやあヨーロッパの貴族は今もこういう世界に生きているんだなあと、感心というかなんというか。凄い世界だなあ。

 

子供の頃から家の中で見て育ったレンブラント作品を愛して止まないバックルー侯爵といい、レンブラントの専門家といい、本当に好きなんだなあというのが目を見ればわかってほほえましい。

一方シックス家のヤンは、”そういう家に生まれた”という理由ではなく自分自身の存在を証明するためにレンブラントに夢中になっている感がある。そのためなら手段は選ばないというところもちょっとあるのかも。

 

そしてレンブラントの大作ともなるとオランダVSフランスという国同士の争いにもなり得る。オランダ側の人、「フランス人にはケンカ好きがDNAに刻まれている。受けて立つ!」みたいなこと言ってて笑ってしまった。当時のフランス文化大臣、誰かと思えばフルールさんだった。オランド大統領時代。

 

ああー、ルーヴルも、アムステルダム国立美術館も、行きたいなーーー。ルーヴル・アブダビもちらっと出てきたよ。

 行った時の→ 【アブダビ】ルーヴル・アブダビ アートなしには生きられない

 

そういや個人コレクターも凄かったな。事業で成功し会社を売却したお金で名画を買い集めたという。そして美術館で公開。個人の所有者から買い、美術館で一般に見せる。こういう”パトロン”のおかげで現代の美術館は成り立っているという面もある。

 

しかしレンブラントのような有名画家の作品は本物なら一大事で、世界をニュースが駆け巡る。いろいろな思惑が交錯していて、単なる鑑賞者として何のしがらみなく美術館で好きな絵と向き合えるというのは、シンプルで幸せなのかも。

というのは持たざる者の負け惜しみに聞こえるでしょうか。(笑)

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