アートなしには生きられない

バレエ、ダンス、クラシック音楽、美術館などシンガポール・東京でのアート体験を中心に。

Donbass(ドンバス)

www.sunny-film.com

 

現在進行形の戦争のニュースに日々接している中で、その背景や歴史が知りたくてドキュメンタリーなども見ているけども、ドンバスという地名も戦争の報道によって知った私としては、実はこの戦争はもっとずっと前から始まっていたのだと、そして世界はそれを軽視してしまっていたのではないかと、重い気持ちになる。

 

前提知識がないとわかりにくいので、公式サイトから引用。

2014年に一方的にウクライナからの独立を宣言し、親ロシア派勢力「分離派」によって実効支配されているウクライナ東部ドンバス地方。ウクライナ軍との武力衝突が日常的に起きているこの地域にはロシア系住民が多く住み、「分離派」の政治工作によってウクライナ系住民との分断が深まり内戦となっている。フェイクニュースプロパガンダを巧みに駆使する近代的な情報戦と、前時代的で野蛮なテロ行為が横行するドンバスのハイブリッド戦争を、ウクライナ出身の異才セルゲイ・ロズニツァ監督がダークユーモアを込めながら描く—— 今日の戦争でロシア軍の所業を知った今、もはやまったく笑えない映画に変貌を遂げた。2018年カンヌ国際映画祭《ある視点》部門監督賞受賞作品。

 

ウクライナ東部、ロシアと接する地域ドンバスを実効支配している新ロシア派。実話を元にしているというのも、現在のウクライナ戦争におけるロシア兵・新ロシア派がやっていることを見れば、「でしょうね」となるものばかりで、今はこの何倍も何十倍も何百倍も酷いことが行われていると考えると、戦争を始めた奴マジふざけんな。

 

映画では、ある面では滑稽でバカバカしくもあり、また腐り切った組織や人間性を突き付けられ、当時こういう現実があったのに今のように大きくは世界が反応しなかったことへの後悔というか、いや私個人が何かできるわけでもないんだけども、なんとかこの時に止められなかったものか、、、となってしまう。

 

現地報道などから垣間見る雰囲気と、映画の中の雰囲気があまりに酷似していてドキュメンタリー的な気持ちになってしまうけど、創作を現実が超えてくる恐ろしさがあるな。。。

 

報道や世界からの圧力というのは本当に大事で、一部の独裁権力者にはその力の使い方も難しいのは確かだけども、それでも、「世界が見ているぞ」という圧は意味も効果もあると思う。ちゃんと見ていなくては。